勘定科目内訳明細書は、決算書に載っている金額の内訳を示す資料です。

貸借対照表に「売掛金1,000万円」と書かれていたとします。

1,000万円という合計額だけでは、どの取引先から、いくら入金される予定なのかはわかりません。
売掛金の内訳書まで見ると、主な取引先ごとの残高を確認できます。

借入金も同じです。貸借対照表には借入金の合計額が載っていますが、借入先ごとの残高や利率までは表示されません。
詳しい内容は、借入金及び支払利子の内訳書で確認します。

勘定科目内訳明細書は、法人税申告書に添付する書類です。
しかし、申告のために作って、そのまま保管してしまうのはもったいないです。

  • 売掛金は予定どおり回収できそうか
  • 在庫に資金が残りすぎていないか
  • 借入金の負担が前期より増えていないか

勘定科目内訳明細書を決算書と並べて見ると、会社の財務状況をより具体的に確認できます。

決算書が勘定科目ごとの合計額を示す資料なら、勘定科目内訳明細書は、合計額を構成する相手先や取引内容を示す資料です。

この記事の要点
  • 勘定科目内訳明細書は、決算書の金額を相手先や取引内容に分けて示す
  • 決算書の残高だけでなく、期中の取引も確認して作成する
  • 国税庁の標準フォームは16の区分に分かれている
  • 作成後は、決算書の残高と内訳の合計額を照合する
  • 売掛金、在庫、借入金などの内訳は、財務状況を確認する材料になる
  • 内容を説明できない残高は、法人税申告前に見直す

勘定科目内訳明細書は決算書の数字を補足する

決算書だけでは金額の中身までわからない

決算書には、会社の資産や負債、収益や費用が、勘定科目ごとにまとめて表示されます。

貸借対照表を見れば、預貯金や売掛金、借入金などの合計額は確認できます。
ただし、合計額だけでは、それぞれの残高がどのような取引から生じたのかまではわかりません。

売掛金が多くても、翌月に入金される予定なら、直ちに問題があるとはいえないでしょう。
一方、何年も回収できていない売掛金が含まれていれば、本当に回収できるのか確認が必要です。

借入金も、残高だけを見て負担の重さを判断することはできません。
利率や返済期間、毎月の返済額によって、資金繰りへの影響が変わるからです。

決算書を見るときは、金額の大小だけでなく、その内容まで確認する必要があります。

内訳明細書を見ると相手先や取引内容がわかる

勘定科目内訳明細書には、決算書を補足する情報が記載されています。

預貯金等の内訳書では、金融機関や口座ごとの残高を確認できます。
売掛金の内訳書を見ると、主な相手先と決算日時点の残高がわかります。

借入金及び支払利子の内訳書に記載する主な内容は、次のとおりです。

  • 借入先
  • 決算日時点の残高
  • 当期に支払った利息
  • 利率
  • 担保の内容

記載する項目や範囲は、内訳書によって異なります。
すべての相手先が、必ず1件ずつ記載されるわけでもありません。

それでも、決算書だけを見るより、会社の取引や残高を具体的に把握できます。

決算書で合計額を確認したら、勘定科目内訳明細書で、相手先や取引内容まで見てみましょう。

勘定科目内訳明細書は法人税申告書に添付する

法人税申告では、会社の決算内容に応じた勘定科目内訳明細書を添付します。

どの内訳書を作成するかは、決算書に残高があるかどうかだけでは判断できません。

決算日時点の残高とあわせて、期中にどのような取引があったかも確認します。

相手先ごとに記載する金額の基準や、明細数が多い場合の取扱いも内訳書ごとに異なるため注意が必要です。

勘定科目内訳明細書は16の区分に分かれる

国税庁の標準フォームは、16の区分に分かれています。

16区分は、記載する内容に応じて、大きく3つに分けられます。

資産に関する内訳書

資産に関する内訳書では、会社が保有している財産や、今後回収する金額の内容を確認します。

対象となるのは、預貯金、売掛金、棚卸資産などです。

固定資産の内訳書については、土地、土地の上に存する権利、建物が対象です。
機械装置や車両運搬具を含む、すべての固定資産を記載する書類ではありません。

負債に関する内訳書

負債に関する内訳書では、会社が今後支払う金額などの内容を確認します。

買掛金や未払金では、主な相手先ごとの残高を記載します。
借入金については、借入先ごとの残高のほか、支払利息や利率なども記載の対象です。

売上や費用などに関する内訳書

売上や費用についても、特定の項目は内訳を記載します。

役員給与や地代家賃、雑益・雑損失などが主な対象です。
特許権や商標権などの使用料を支払っている場合には、工業所有権等の使用料の内訳書も関係します。

各明細書の書き方を詳しく知りたい方へ

勘定科目内訳明細書は、種類によって次の内容が異なります。

  • 記載の対象になる取引
  • 相手先ごとに記載する金額の基準
  • 記載を省略できる条件
  • 各欄に記載する内容

該当する内訳書の書き方は、次の解説記事から確認してください。

資産に関する内訳書
費用に関する内訳書

※未公開の記事は、公開後に順次リンクを追加していきます。

決算書と内訳明細書の金額を照合する

勘定科目内訳明細書を作成したら、決算書と金額が合っているかを確認します。

貸借対照表に売掛金1,000万円と表示されているなら、売掛金の内訳書に記載した金額の合計も、対応する残高と一致しているかを確かめます。

金額が合わないときは、次のような原因が考えられます。

  • 内訳に反映していない相手先がある
  • 決算確定前の残高を使っている
  • 決算書と内訳明細書の集計範囲が異なる
  • 前期の相手先や金額が残っている

差額が見つかったら、内訳明細書の金額だけを直して合わせるのではなく、帳簿へ戻って原因を確認します。

前期と同じ内容でも、そのまま使わない

内訳明細書は、前年のデータをコピーして作成することがあります。

前期の情報を利用すれば、入力の手間は減ります。
ただし、確認せずに使うと、取引が終わった相手先や古い残高が残り続ける可能性があります。

前期の内訳明細書と並べ、次の変化を確認しましょう。

  • 新しく加わった相手先はないか?
  • 取引がなくなった相手先が残っていないか?
  • 残高が大きく増減していないか?
  • 前期から同じ金額が残り続けていないか?

前年と同じだから正しいのではなく、当期の取引と合っているから正しいと考えます。

内訳明細書から会社の財務状況を見る

決算書と内訳明細書の金額が合っていたら、次は内訳の変化に目を向けます。

まずは、資金繰りとの関係が深い項目から見てみましょう。

売掛金は回収予定まで確認する

売上を計上しても、取引先から入金されるまでは、会社の預金は増えません。

売掛金の内訳書では、残高の大きい取引先や、前期から残っている取引先を確認します。

残高が大きくても、入金予定が明確なら、今後の資金繰りを考えられます。
注意したいのは、いつ入金されるのかわからない売掛金です。

請求書や入金履歴と照らし合わせ、予定どおり回収できそうかを見ておきましょう。
帳簿の金額が合っていても、回収が遅れていれば、資金繰りへ影響します。

棚卸資産は在庫に残っている資金として見る

棚卸資産の内訳書には、商品や製品の品目、数量、単価、決算日時点の金額が記載されます。

在庫が前期より増えている場合は、売上の増加に備えた仕入れなのか、販売できずに残っているのかを確認しましょう。

利益が出ていても、在庫が増え続けていれば、仕入れに使った資金が手元へ戻っていない場合があります。

在庫を確認するときは、「いくらあるか」だけでなく、「なぜ増えたのか」まで見ることが大切です。

借入金は返済予定表とあわせて見る

借入金及び支払利子の内訳書では、借入先ごとの残高、支払利息、利率などを確認できます。

借入金が増えていたら、借りた資金を何に使ったのかも振り返ります。

設備投資のための借入れなのか、日々の支払いを補うための借入れなのかによって、今後確認したい点が変わるからです。

内訳書だけでは、毎月の返済額や完済時期まではわかりません。
将来の返済負担を確認するときは、金融機関から交付された返済予定表も用意します。

内訳書で決算日時点の残高を確認し、返済予定表で今後の支払いを見るという使い分けです。

仮払金や仮受金は内容を説明できるか確認する

仮払金や仮受金が決算時に残っていても、直ちに問題になるわけではありません。

設備購入のために支払った手付金や、取引先から受け取った前受金など、理由があって残っている金額もあります。

確認したいのは、残高があることではなく、何の金額なのかを説明できるかです。

発生した理由や精算予定がわからない場合は、帳簿や請求書、契約書まで戻って確認します。
前期から同じ金額が残っている場合も、当期末に残す理由があるかを見直しましょう。

「前期から残っているけれど、何の金額かわからない」という状態は、法人税申告前に見直しましょう。

説明できない残高は法人税申告前に見直す

内訳明細書を確認していると、帳簿の金額は合っていても、内容を説明できない残高が見つかることがあります。

勘定科目ごとに、根拠となる資料と照合します。

  • 売掛金は請求書や入金履歴
  • 預貯金は通帳や残高証明書
  • 借入金は残高証明書や返済予定表
  • 棚卸資産は棚卸表
  • 未払金は請求書や契約書

帳簿と資料が合わないときは、未計上の取引や二重計上がないかを確認します。

次のようなケースでは、放置しておくと状況が悪化するので、法人税申告前に状況の整理と問題を解決したほうがよい場合が多いです。

放置しておくのは危険なケース
  • 回収できるかわからない売掛金がある
  • 内容が不明な仮払金や仮受金が残っている
  • 役員や関係会社との貸し借りがある
  • 帳簿と借入金の残高が合わない
  • 決算書と内訳明細書の合計が一致しない

残高を修正した結果、収益や費用が変わる場合は、法人税の計算にも影響する可能性があります。

勘定科目内訳明細書を決算内容の確認に活用する

勘定科目内訳明細書は、法人税申告書に添付して終わる資料ではありません。

決算書と並べて見ると、合計額だけではわからなかった相手先や取引内容を確認できます。

決算時には、次の順番で見ていきましょう。

確認順序
STEP1
決算書と内訳明細書の合計額を照合する

まずは、対応する勘定科目の金額が合っているかを確認します。

STEP2
前期から大きく変わった残高を見る

新しい相手先や、金額が大きく増減した項目を探します。

STEP3
長期間残っている金額の内容を調べる

回収、支払い、精算の予定があるかを確かめます。

STEP4
帳簿と根拠資料を照合する

請求書や残高証明書などと照らし合わせます。

STEP5
説明できない残高を申告前に見直す

判断に迷う場合は、帳簿を修正する前に税理士へ相談します。

決算書を経営判断に使うなら、合計額を確認するだけでは足りません。

  • 売掛金は予定どおり回収できるのか?
  • 在庫に資金が残りすぎていないか?
  • 借入金の返済負担は重くなっていないか?

勘定科目内訳明細書は、会社の数字を具体的に見るために重要な資料になります。

勘定科目内訳明細書を確認すると、決算書の合計額だけではわからない、相手先ごとの残高や取引内容が見えてきます。
決算書と内訳明細書の金額が合わない場合や、前期から残っている仮払金、回収予定が不明な売掛金などがある場合は、法人税申告前に内容を確認しておく必要があります。
当事務所では、確認したい範囲に応じて、次のサービスをご用意しています。

  • メール相談
    特定の勘定科目について、内訳明細書への記載方法や、残高の確認方法を相談したい方
  • 個別コンサルティング
    複数の内訳書や決算書を確認し、売掛金、在庫、借入金などの状況をまとめて整理したい方
  • 税務顧問
    毎月の会計内容を確認しながら、決算や法人税申告に向けて、残高の内訳と財務状況を継続的に整えたい方

決算書と内訳明細書の確認でお困りの場合は、ご相談内容に合ったサービスをご利用ください。


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