請求書を発行したときの仕訳解説

仕訳解説

はじめに

請求書を発行したとき、
「その日に売上を計上してよいのか」
「入金がまだでも仕訳が必要なのか」
と迷うことがあります。

特に、月末や年末、決算期末に請求書を発行する場合は注意が必要です。
請求書の日付だけで判断すると、売上の計上時期がずれてしまうことがあります。

この記事では、請求書を発行したときの仕訳について、次の順番で解説します。

  1. 請求書を発行したときの基本的な考え方
  2. その場で代金を受け取る場合の仕訳
  3. 後日入金される場合の仕訳
  4. 間違えやすい売上計上日の考え方
  5. 年末・決算期末で注意したいポイント
  6. まとめ

会計に詳しくない方でもイメージしていただけるように、なるべくシンプルな例で確認していきます。

請求書を発行しただけで売上になるとは限らない

まず押さえておきたいのは、請求書を発行した日が、必ずしも売上計上日になるわけではないという点です。

売上は、一般的には商品を引き渡した日や、サービスの提供が完了した日を基準に考えます。
国税庁の通達でも、請負による取引について、物の引渡しを要する場合は目的物を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない場合は約束した役務の全部を完了した日を基準とされています。

次のようなケースを考えてみましょう。

  • 6月25日に請求書を発行した
  • 商品の納品日は6月30日
  • 入金日は7月31日

この場合、売上を考えるうえで大切なのは、請求書の日付よりも商品を引き渡した日です。

そのため、基本的には6月30日の売上として考えます。
一方で、サービス業の場合は、作業や役務の提供が完了した日が重要です。
たとえば、6月分のコンサルティング業務が6月30日に完了し、7月5日に請求書を発行した場合、基本的には6月の売上として処理することになります。

その場で報酬を受け取る場合の仕訳

請求書を発行し、その場で現金や預金で代金を受け取る場合は、比較的わかりやすい処理となります。

商品を販売し、代金10万円を普通預金で受け取った場合は、次のような仕訳になります。
普通預金 100,000円/売上 100,000円

現金で受け取った場合は、借方を「現金」とします。
現金 100,000円/売上 100,000円

この仕訳は、
「お金が増えた」
「売上が発生した」
という2つの動きを記録しています。
実務では、現金、普通預金、当座預金など、実際に受け取った方法に合わせて勘定科目を使います。
なお、消費税の処理については、税込経理か税抜経理かによって仕訳の表示が変わります。
今回は請求書を発行したときの仕訳をわかりやすくするため、消費税の細かい処理は省略しています。

後日入金される場合の仕訳

請求書を発行しても、入金が後日になることはよくあります。
この場合は、まだお金を受け取っていないため、「現金」や「普通預金」は使いません。
代わりに使うのが「売掛金」という勘定科目です。

売掛金とは、簡単にいうと「あとでお金を受け取る権利」です。
取引先に対して、商品代金やサービス代金を請求できる状態を表します。

商品を10万円で販売し、代金は翌月末に振り込まれる場合は、売上計上時に次の仕訳をします。
売掛金 100,000円/売上 100,000円

その後、実際に普通預金へ入金されたときは、次の仕訳をします。
普通預金 100,000円/売上 100,000円

最初の仕訳では、売上と売掛金を記録します。
入金時の仕訳では、売掛金を消して、普通預金の増加を記録します。
後日入金の場合には、売掛金の発生と消滅の仕訳が2つ出てくるのが基本です。
1回目は、売上が発生したとき。
2回目は、実際にお金が入ってきたときです。

「請求日」と「売上計上日」は分けて考える

請求書を発行したときに間違えやすいのが、請求日=売上計上日と考えてしまうことです。
もちろん、請求日と納品日、作業完了日が同じであれば、大きな問題になりにくい場合もあります。
しかし、以下のように請求書を先に発行するケースや、作業完了後にまとめて請求するケースでは注意が必要です。

請求書を先に発行するケース

  • 3月25日に請求書を発行
  • 4月5日に商品を納品
  • 4月30日に入金

この場合、請求書は3月に発行しています。
しかし、商品の引渡しが4月5日であれば、基本的には4月の売上として考えます。
3月の売上としない理由は、請求書を出しただけではまだ商品を引き渡していないからです。

作業完了後に請求書を発行するケース

  • 3月28日に作業が完了
  • 4月3日に請求書を発行
  • 4月30日に入金

この場合は、請求書の発行日は4月です。
しかし、作業が3月28日に完了しているため、基本的には3月の売上として考えます。
請求書の発行が遅れても、作業が完了していれば売上計上が必要になることがあります。

年末や決算期末は特に注意が必要

個人事業主や法人では、年末や決算期末の売上計上に注意が必要です。

個人事業主の場合

個人事業主は、通常1月1日から12月31日までを1年として計算します。
たとえば、12月に請求書を発行していても、商品の引渡しやサービスの完了が翌年1月であれば、基本的には翌年1月の売上として考えます。
反対に、12月中にサービスが完了しているのに、請求書の発行が翌年1月になった場合は、12月の売上として処理する必要がある場合があります。

法人の場合

法人の場合は、会社ごとに決算月が異なります。
3月決算法人であれば、3月末が大きな区切りです。
3月中に請求書を発行していても、商品の引渡しや役務の完了が4月であれば、基本的には翌期の売上として考えます。
反対に、3月中に納品や作業が完了している場合は、請求書の発行が4月であっても、当期の売上として処理することがあります。

このような期末前後の取引は、売上の計上時期がずれやすい部分です。
売上の計上時期については、取引の内容や契約、納品・検収・作業完了の状況を確認することが大切です。

売上計上の基準は継続することが大切

売上をいつ計上するかについては、取引の内容に応じた合理的な基準を使うことが大切です。
商品販売であれば出荷日、納品日、検収日などが判断材料になります。

ただし、都合のよいタイミングで毎回変えることは避けるべきです。
一度、売上の計上タイミングを決めたら、それ以降はその方針を継続していく必要があります。
また、収益の額は原則として個々の契約ごとに計上することになっているので、取引単位や継続性を意識することが重要です。

ある月は請求日で売上を計上し、別の月は入金日で売上を計上する、という処理をしていると、売上の期間がばらばらになってしまいます。
毎月の利益を正しく見るためにも、同じような取引は同じ考え方で処理することが大切です。

まとめ

本日は請求書を発行したときの仕訳を確認していきました。
請求書を発行したときの仕訳は、代金をその場で受け取るか、後日入金されるかで変わります。
勘定科目については、現金で受取ったら「現金」勘定、普通預金口座に入金された「普通預金」勘定など、仕訳の内容に関しては比較的わかりやすいものとなっております。

今回一番大切なのは、請求日だけで売上計上日を決めないことです。
引渡前後や作業前後に請求書を発行する場合も、実際の引渡日や作業完了日を確認します。

特に、個人事業主の年末や法人の決算期末では、売上の計上時期が税額にも影響します。
請求書、納品書、検収書、作業完了報告書、入金明細などをそろえて、取引の流れがわかるようにしておきましょう。

日々の仕訳は小さな処理に見えますが、決算や申告の正確さにつながる大切な記録であり、あとでまとめて修正すると作業が膨大になるので日々の確認が重要です。


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